「時価」と聞いたら「詐欺」と思え : 僕らを惑わす都合いい概念
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バイクには2種類の時価があります。

保険で使われる時価と、買取で使われる時価です。

バイク保険における時価と、バイク買取算定における時価の価格変動の違い

もともと時価とは「その時々の物の値段」を意味します。

時価は需要が増えたり供給が減ったりすると上がります。毎年秋にはサンマの値段がニュースになりますが、サンマを食べたい人は一定数いるので、不漁になり供給量が減れば値段は上がります。逆に獲れ過ぎると値段が下がります。物の需給バランスにより価格は常に動きますので「その時々の物の値段」を時価と呼ぶのです。

ですがバイクの時価には普通とは違った側面があるのです。

目次

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バイクには2つの時価がある

サンマの場合には一匹100円とか、120円とか、その時々で1つの値段が決まるので分かり易いですが、バイクの場合には常に2つの時価があります

保険の時価買取の時価です。

バイクの任意保険で用いられる“時価”

バイクの任意保険での時価とは、保険の査定における時価を指します。

事故でバイクに損傷が有った場合に、その損害額を算定する為の時価です

保険の時価は新車の値段から経過した日数分を引いて算出されます。例えば新車100万円のバイクの価格が一日1,000円ずつ減っていくようなイメージです。

全く乗らないで観賞用として置いていたバイクだとしても、日にちが過ぎるごとに価値が減っていくという考え方をします。

一日当たり幾ら減るのかはルール化されているため、保険での時価は基本的に下がる一方で、上がることはありません。いくらお金をかけてカスタムを行ったバイクだとしても同様です。

保険における時価の考え方はとても重要なので、必ず覚えておいてください

事故で自分のバイクが壊れたとしても、保険会社が補償し保険金として支払われる額は時価が上限です。

時価は新車価格より下がっていますので、支払われた保険金だけで代わりのバイクを買おうとすると、被害にあったバイクより安いバイクしか買えません。

買い替えではなく、修理をしたい場合でも、保険会社が払う額は時価までなので、修理費全額を賄えるとは限りません。特に高額なカスタムを施したバイクの場合には、カスタム費は時価の計算に加えられないことが多いため注意が必要です。

 

バイクの買取査定で用いられる“時価”

任意保険の時価が新車価格からの引き算方式で出されるのと異なり、買取査定で用いられる時価は、今売れる値段から算出されます

例えば20年前の車種でも、人気車であれば価格は上がります。程度が良く、人気が高い車両であれば、当時の新車価格よりも時価の方が高くなっているケースも珍しくありません。

一方で価格が落ちるときは一気に落ちます。いくら程度が良い新型モデルであっても、人気が無ければ時価は一気に落ちるのです。保険の時価のように一定の割合で少しずつ落ちるということはありません。

買取査定の時価は保険の時価のようにルールや指針のようなものが無い為に、査定員の判断にゆだねられている部分がかなりあります。「このバイクを買い取った場合、自分なら幾らで売れるか」を基に時価が算定されているのです。

そのため、売る自信がある査定員が判断する時価は高くなりますし、自信が無い査定員は低くなります。

時価と言われたら詐欺と思え

保険にしても買取査定にしても「時価」と言われたら要注意です。

「時価」とは大変もっともらしい言葉なのですが、専門家が一般人を説得するのにこれだけ都合のいい言葉はありません

保険の場合には、時価を算定する計算式は殆どの場合非公開です。保険会社によってはキチンとした根拠資料を出してくれることもありますが、それも要求しなければ出てきません。

買取の時価は更に不明瞭です。買取査定の時価を算定する根拠は査定員の頭の中にしかありません

しかし一般人は専門家から「時価がこれ位ですから」と言われると、何となく「ああそうなんだ」と思いがちです。

「専門家が言うなら正しいのだろう」と思わせる説得力が「時価」という言葉にはあるのです。

買取査定の最中に時価と言われたら、詐欺を疑うくらい用心深くなりましょう。もちろん査定員は詐欺師ではありませんが、価格の正当性を確認出来るまでは、詐欺と思って対応するくらいの用心深さが必要です。

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時価という名の詐欺に合わないために

この時価攻撃とでも言うような対応を取られたらどうすれば良いのでしょうか?

「時価から考えるとこの位の買取価格が妥当です」と言われた場合です。

実は最近問題になっている「押し買い」もまさにこの手口なのです。「この宝石は時代遅れのデザインだから」とか「この時計は傷が入っているから」とか尤もらしい理由を付けて、「時価が低い」と納得させるのです。

そのような場合にはどうすれば良いのでしょう?

方策は2つあります。

1事前に時価を調べておく

この方法が最良の手段です。事前に時価の目途が付いていれば、これ以上の防御策は有りません

実は買取の時価は簡単に調べることが出来ます。詳しくはこちらの記事をご参照ください。

一方で保険の時価は交通事故の示談交渉で必要になるため、いつ必要になるのかが事前には分かりません。常に事後対応となりますので、実際には保険会社から時価が提示されるのを待つことになります。

提示された時価に納得できればいいのですが、疑問を感じたら保険会社に「レッドブックの写し」を請求してみてください。この本は損害保険会社であれば必ず備えている専門書です。

レッドブックには車種ごとの基準額が載っており、保険会社はその数値を基に時価を算定しています。この資料を確認することで、根拠が有る提示額なのかどうかのチェックが行えます。

2一旦見積もりを中止する

少々思い切った対処法ですが、時価を根拠に納得できない査定価格が出された場合には、思い切って見積もりを中止することも検討してください。

但し中止した場合には、その後に自分で時価相当額を調べる必要があります。そうでなければ、いくら再見積もりを行っても結果は同じです。

また、一度断った買取業者を再度呼ぶことが出来ないこともあり得ます。その意味でもこの方法を取る際にはよくよく検討してください。

 

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