バイクを売ろうとすると、実に多くの広告が出されていることに驚きます。そしてどの広告にも「高値買取」と書かれていますが、本当にそうでしょうか?
バイクの買取価格はその後の販売価格で決まります。買い取り額を査定する時、業者の頭の中ではこのような計算が行われています。
どの業者に声をかけたとしてもこの原則は変わりません。ですが、1つだけ影響を持つことが有ります。その会社の販売力です。
つまりここが変わると買取価格が変わるのです。
目次
販売力が有る会社とは?
私が言う「販売力が有る」とは、多くの商品を売ることが出来るということではありません。
私はかつてリゾート会員権を販売をしていました。その頃に最も嬉しかったのは、「あなたから買いたい」という声を頂いた時でした。「商品が優れていることは分かりました。誰から買っても一緒だけど、あなたから買いたい。」という評価ほど、自分を満たしてくれるものは有りませんでした。
その販売を通じて、現在の横浜市長である、林文子氏にお会いしたことが有ります。当時彼女はBMW東京の社長でした。彼女はもともとフォルクスワーゲンの販売員だったのですが、その販売実績が認められ、社長まで登りつめた方です。
彼女が教えてくれました。「お客様に対して誠心誠意努めると、お客様が新しいお客様をを紹介してくれるようになる。そのようなお客様は値引きなどしてこない。自分が提示する価格を無条件に受け入れてくれる。」
私が言う、販売力とはこのことです。このような顧客を持った会社を「販売力が有る会社」というのです。
販売力が有る会社をどう見つけるか?
販売力が有る会社とは顧客を大切にする会社です。ではどのように見抜けばいいのでしょうか? 見積対応の1~2時間のうちに見抜くのは簡単ではありません。そもそも見積もりが始まってから判断していたのでは、いったい何人の査定員に会えば良い会社に当たるのか、見当もつきません。林氏の顧客のように、知人からの紹介が有れば良いのですが、そう簡単にはいきません。
そこで視点を変えて「顧客を大切にする会社」はどのように生まれるのかを考えてみましょう。
会社が顧客対応を改善する動機は2つあります。
内圧と外圧です。
このような会社なら最高! 内部からの改善
内圧とは内側からの問題提起によって顧客対応が向上するパターンです。「顧客が喜ばないなら会社の存在意義が無い」という価値観によって改善が進みます。使命感と言っても良いかもしれません。
このような価値観を感じさせてくれるバイク屋と出会えた人は幸せです。決して離れてはいけません。自分が少々損しても、バイクはその店に売った方が良いでしょう。このようなバイク店との関係はお金では買えません。是非、その店を育てるつもりで儲けさせてあげて下さい。例え売却額が少なかったとしても、損した分はいずれ倍以上の価値を持って自分に返ってきます。
社会の要望に応える 外部対応としての改善
もう一つは外圧により顧客対応の改善が進むパターンです。会社の評判が悪くならないように、法的な制裁を受けないように等の思いが動機となります。体面を保つために改善を進めるケースです。
私を含め多くのサラリーマンは、林氏のような高度な顧客対応を自分の志だけで実現するのは難しいでしょう。しかし会社から命令されたり、社風が顧客重視に傾けば、ある程度の水準までは到達できます。
良い会社をどのように見つけるか
残念ながら内部から改善が進むタイプの会社を手っ取り早く見つける方法は有りません。この種の会社はちょっと探して見つかるものではなく、日々の生活の中で接する情報や、知人からの紹介を通じて知るしか方法がないからです。
ですが外圧で変わる会社は探せます。「顧客を重視せざるを得ない会社」を見つければいいのです。
何はともあれ、大手を選べ
「顧客を重視せざるを得ない会社」とは大手の会社です。「何だそんなことか」と思われるかもしれませんね。ですがこれにはキチンとした根拠が有ります。
先ず第一に大手は批判を受けやすいことが挙げられます。自社の業界に悪評が立つと、まず最初に大手に火の粉が降りかかります。ですから大手企業であればあるほど、批判をかわせるだけの変革・改善を常日頃から行い、申し開きが出来るようにしておかなければなりません。
次に改善が「使命」となることが挙げられます。特に株式を公開している会社にとっては、安定成長と永続が企業の社会的使命です。「堅実な経営」「社会的信頼の確保」が経営者から末端までの使命となるのです。この使命を全うするために、儲かる儲からないとは別の次元で、顧客満足度の向上に取り組まなければなりません。
この外圧を使わない手はありません。
このような意味で大手を選ぶというのは、正しい選択なのです。
私達が顧客満足度の向上に本気で取り組めるようになったのは、東証一部に上場して十分な資金力を得た後でした。企業の社会的責任が増した後ともいえるでしょう。
厄介なことに、ベンチャー企業には、顧客対応に十分な対策が打てていないことに気付けません。私達もベンチャー時代から顧客を大切にすることを心がけていました。ですが今から考えると、その対応はかなりお粗末でした。会社を存続させる為の利益第一主義に捕らわれていたのだと、今だからこそ分かります。
この記事は「信頼できるバイク買取店はどこだ?」に続きます。