実は一番売るのが難しいのが原付バイクです。原付は中古買取店が買い取った後に高い値で売ることが難しいので、買取価格も上げにくいのです。買い取ってもらうどころか、逆に処分費を請求されてしまうかもしれません。
でも諦めないでください。キチンとした準備さえすれば、方策はあります。
目次
原付の売買は儲からない
実のところ中古の原付は業者にとって儲かる商品ではありません。その理由はいくつかあります。
1.売却価格が低いので、利益がとれない。
2.日常使用が多く、キズや破損を負っている車種が多い
3.大型車に比べて、買い手側の「安く買いたい」という意識が高い
あくまでも傾向ですが、全体的に利益が取りにくいのは事実です。その影響は時に会社の収益までも圧迫します。
買い取り「バイク王」、2期連続赤字の深刻理由
ネットの場合はある程度、広告を届けるユーザーを選べるが、テレビの場合はユーザーの属性にかかわらず広告が伝わってしまう。その結果、バイク王に来る買い取り依頼は、50CCなど圧倒的に流通台数が多い低排気量車になってしまう。低排気量車の買い取りのデメリットは、低価格ゆえに利幅が薄いということだけではない。長く放置されていたことで、動かなくなった不動車などは、買い取り価格がゼロまたは少額なため、廃車費用を払えばユーザーが損をするような状況も生じてしまう。
同社にとっても時間ばかり費やし、利益にならず、クレームの可能性も高い不動車の増加は現場に混乱をもたらす。事実、こうした状況が価格比較サイトの台頭とともに営業赤字の大きな要因となった。
そもそも買い取っても儲かる可能性が低い原付です。高値買取はとても困難であることをまず認識しましょう。その上で対策を立てないと、対策が単なる夢物語となってしまいます。
このバイク、私ならいくらで買うだろう?
先ずは想像してみて頂きたいのですが、今のあなたのバイク、あなたなら幾らで買いますか?
自分のバイクの売値を想像すること、これがとても大切なのです。この想像をするだけで、バイクを売るときに一番大切だけれども、多くの人が見逃している大きな壁を超えることが出来ます。
バイクを売るということは、そのバイクを商品にするということです。当然買ってもらわなければなりません。買うかどうかを決めるのはお客様です。バイク買取店は「このバイクはお客様に買って頂けるか」を考えて査定を行います。この視点を理解しているといないとでは、バイクの売り方が180度違います。
貴方がバイクを売る相手は、買取店ではありません。次の持ち主になる方です。これを忘れないでください。この視点でバイクを見るということは、買取店と同じ視点を持つということです。視点が揃うと、話も通じやすくなります。交渉力も付きます。3者の関係を図にするとこのようになります。
買う人がバイクをどう選ぶかを考えよう
さらにお客様の考え方に踏み込んでみましょう。お客様はどのようにバイクを選ぶでしょう。
殆どの人はこんな風に選びます。原付の場合は日常の足として使われるので、車種にこだわる人はあまり多くはありません。問題なく使えれば良いと考えます。
- 出来るだけ新品に近いバイクか
- 見た目がきれいなバイクか
- 故障しないバイクか
- 予算に見合ったバイクか
- 購入決定
或いはこのような順番かもしれません
- 予算に見合ったバイクか
- 出来るだけ新品に近いバイクか
- 故障しないバイクか
- 見た目がきれいなバイクか
- 購入決定
バイクが売れるためには5段階目に到達しなければならないのですが、それには越えなければならない関門が4つあります。これを上手く超えれば超えるほど、売れる可能性も価格も高くなります。つまり4つの評価点が高いほど、販売価格が高くなり、あなたからの買取価格も高くなるのです。
ではどうすれば評価を上げられるのでしょう。
1バイクを出来るだけ新品に近づける?
この対処方法はただ1つです。とにかく早く売ることです。バイクは想像以上のペースで新しいモデルが出ています。例えば2017年に発売されたモデルは、原付(50cc~125cc)だけで21種類もありました。
実に月に1~2台が発売されています。貴方のバイクもあっという間に今より1段階古いバイクになってしまいます。年式が落ちれば、お客様の目に触れる可能性も低くなります。選ぶどころか、見ても貰えないバイクになってしまうかもしれません。これを回避するには、とにかく早く売ることです。
2見た目がきれいなバイクにする
年式が1年違っても、直ぐにバイクの性能が変わるわけではありません。特に中古の場合には年式の新しい古いよりも、どれだけメンテナンスをしっかり行っていたかの方が遥かに重要です。ですが買う側は外見でしか興味を持ってくれません。先ず外見で選び、その後で内面を確認するのです。まさに「バイクは見た目が9割」と言うわけです。
先ずは見てもらうために、外見を整えましょう。ですが勘違いしてはいけません。見た目がキレイというのは、飾っている(カスタムしている)ということではありません。どれだけ新車に近く見えるかということです。中古車を買う人も本来は新車が欲しいのです。お金が掛けられないから中古を選ぶのです。買う人の理想形は新車なので、そのイメージに近づけることが大切です。一番新車に近く見えるバイクが一番最初に検討してもらえます。
最低でも簡単な洗車は行いましょう。水洗いまではしないまでも、ほこりを落とす程度は必ず行ってください。
シートを外したら蜘蛛の巣が張っているような状態では、買取査定員も高額見積もりなど出す気にはなりません。
但し、修理や部品の交換まで行う必要はありません。一般人が修理交換を行うのと、バイク買取店が行うのでは、部品代も工賃も買取店の方が安く済みます。破損が原因で1万円見積もりが下がることを嫌がって、自分で直したとしても、修理実費が1万円程度かかってしまいます。
3快調に走るバイクにする
これは買取店の仕事です。バイクを修理し、老化部品は交換し、売れる商品に仕上げます。
ですが貴方にも大切な役目があります。バイクの調子を正確に伝えてあげて欲しいのです。何も問題が無く走っている場合はもちろんですが、エンジンから異音がするとか、ライトが暗くなるとか、日頃気になる症状があれば伝えて下さい。
残念ながら、これらを伝えることで、買取価格が高くなることは有りません。むしろ下がるでしょう。ですが言わなくても業者はいずれ気付きます。業者が知るのが早いか遅いかの差でしかありません。そうであれば、状態を伝えることで、見積もりに要する時間を短くした方が良いと思います。
但し、その不具合が慢性的に出ている症状ではない場合には、わざわざ伝える必要はありません。バイクも機械ですので、一時的な不調は起こり得ます。一時的な不調を伝えてしまったがために、慢性的不調と判断され、値段が下がったとしたら、それはちょっと勿体無い交渉になってしまいます。
尚、事故を起こしたバイクや、故障して動かないバイクの場合には修理費用が高額になり過ぎることが有ります。そうすると買取に対応出来ない業者が出てきます。修理額が売れる価格を上回ってしまうのです。
そのようなバイクを売る場合には少し知恵が必要です。
詳しくはこちらのページで説明いたします。
3買ってもらえる値段を付ける
交渉も大詰めです。ここでは予め「店頭で売れる値段」を把握しているかどうかで、結果が変わります。このページの一番最初に出てきた「私ならいくらで買うだろう」の値段から、「快調に走るバイクにするための費用」「見た目をきれいにするための費用」「買取業者の利益」を引いた金額が買取価格です。
「快調に走るバイクにするための費用」はバイクの程度によって変わりますが、普通の査定員なら「買取価格が下がる理由」「見た目をきれいにするための費用」として教えてくれるはずです。
「買取業者の利益」はさすがに教えてくれませんが、見積もりに来るだけで1万円程度の実費(人件費+移動費)はかかっていることは知っておいた方が良いでしょう。
上手な交渉とは我を通すことではない
バイクを売るのは商売です。バイク査定を依頼するというのは、バイク買取店に自分のバイクを売り込むことに他なりません。
商売の基本は「三方良し」です。
自分だけ利益を得ようとすると、かえって自分に不利な条件を突き付けられることになります。
ですが、もし貴方が相手を尊重して交渉しているにもかかわらず、相手が自分の利益だけを考えていると感じたなら、売るのを止めて下さい。そして別の業者に声をかけてみて下さい。
ここに記したような準備をきちんと行っているなら、相手に対して躊躇なく正当な要求を出来るだけの自信が持てていますから、交渉決裂の判断も恐れずできるはずです。