バイクを手放す際に自賠責保険の扱いはどうなるのかについてご説明いたします。
先ず抑えて頂きたいポイントは、自賠責保険はバイクに紐付いているということ。自賠責保険は人には紐付いていません。
そのため人と紐付いている任意保険とは全く違った手続きが必要です。
この記事では、自賠責保険の解約の方法、解約に当たり問合せが必要な保険会社の連絡先、自賠責保険解約後の返金額の目安、自賠責保険が切れている場合の対処法などもご案内いたします。
更に自賠責を解約せずに名義だけを変える方法、乗り換えた次のバイクに移す方法なども採り上げます。
目次
自賠責はバイクに紐付いている
自賠責保険はバイクに紐付いていて、そのバイクが誰かにケガをさせてしまった時に、その被害者を救う目的で掛けられている保険です。
そのため本来は、自賠責保険は解約出来ません。
バイクの持ち主が誰であれ、そのバイクが走るなら人をケガさせる可能性があるため、保険を外せないようにしているのです。
しかし「このバイクはもう使いません」と申告した場合に限り解約することが出来ます。
「このバイクは使いません」と証明する方法
バイクを使いませんと証明するには、公道を走れない状態にすることを求められます。つまり廃車手続きを終え、ナンバープレートを役所に返した証明書が必要となるのです。
原付~125ccの場合は「廃車証明書」、250cc以上は「軽自動車届出済返納証明書」、車検がある400cc以上は「自動車検査返納証明書」という書類がこれにあたります。
尚、バイクを買取業者に売る場合には、その会社が発行する「買取証明書」でも手続きが可能となる場合があります。
その可否についてはご自身が加入している自賠責保険会社への確認を行ってください。加入している保険会社は自賠責保険証に記載されています。
『自賠責保険 契約会社一覧』
名称 | 電話番号 |
---|---|
あいおいニッセイ同和損害保険(株) | 03-5424-0101 |
アクサ損害保険(株) | 0120-699-644 |
アシキュラチオニ・ゼネラリ・エス・ピー・エイ | 0120-138-111 |
アメリカンホーム医療・損害保険株式会社 | 03-5401-8000 |
イーデザイン損害保険株式会社 | 0120-098-035 |
AIG損害保険(株) | 0120-016-693 |
SBI損害保険株式会社 | 0800-8888-836 |
共栄火災海上保険(株) | 0120-719-112 |
ザ・ニュー・インディア・アシュアランス・カンパニー・リミテッド | 03-5326-7396 |
セコム損害保険(株) | 0120-333-962 |
セゾン自動車火災保険(株) | 0120-281-389 |
全国共済農業協同組合連合会(JA共済) | 0120-536-093 |
全国自動車共済協同組合連合会(全自協) | 03-3267-1911 |
全国トラック交通共済協同組合連合会(交協連) | 03-3341-6271 |
ソニー損害保険(株) | 0120-101-656 |
損害保険ジャパン日本興亜(株) | 0120-238-381 |
そんぽ24損害保険(株) | 0120-474-024 |
大同火災海上保険(株) | 0120-331-308 |
Chubb損害保険株式会社 | 0120-011-313 |
チューリッヒ・インシュアランス・カンパニー・リミテッド | 0120-860-697 |
東京海上日動火災保険(株) | 0120-071-281 |
日新火災海上保険(株) | 0120-17-2424 |
日本再共済生活協同組合連合会 | 03-3320-1711 |
三井住友海上火災保険(株) | 0120-632-277 |
三井ダイレクト損害保険(株) | 0120-312-770 |
明治安田損害保険(株) | 03-3257-3111 |
楽天損害保険株式会社 | 0120-120-555 |
自賠責保険の解約手続きは、保険会社に対して直接行わなければなりません。
加入の際に窓口となったバイク店、保険代理店、コンビニ、郵便局に解約手続きを依頼することは出来ないので注意してください。
自賠責保険会社が分からない場合
自賠責保険証を無くしたために、問合せ先が分からない場合には、加入手続きを行った保険代理店、バイク店などに問い合わせてみて下さい。
自賠責保険の加入手続きは、ナンバーの取得と同時に行うのが一般的ですので、バイクを買った店が加入手続きを行っている可能性が高いのです。加入手続きを行ってるのであれば、使用保険会社は分かります。
コンビニや郵便局を通じて、自分で加入手続きを行ってる場合はどうでしょうか。コンビニは保険会社ではないので、そちらに聞いても返答は得られません。
各コンビニと提携している保険会社は以下の通りですので、加入手続きを行ったコンビニの提携保険会社に問い合わせましょう。
- セブンイレブン:三井住友海上火災保険株式会社
- ローソン:東京海上日動火災保険株式会社(以前はあいおいニッセイ同和損害保険株式会社でしたので、加入時期によって保険会社が異なります)
- ファミリーマート:東京海上日動火災保険株式会社
- サークルKサンクス:あいおいニッセイ同和損害保険株式会社(今後ファミリーマートに統合されますが、保険加入時にサークルKサンクスであればあいおいニッセイで加入していると思われます)
郵便局で加入した場合には、郵便局の窓口への確認が必要です。郵便局は加入した地域によって、保険会社が異なるためです。
自賠責保険に加入した場所も分からない場合
全く手掛かりがない状態です。この場合には先ほど記載した保険会社に1社ずつ問い合わせるしかありません。
問合せを実施するかどうかは、返金の見込み額を確認後に行った方が良いでしょう。自賠責の返金額は少額になり易いためです。後程目安金額を説明します。
自賠責を解約したときの返金額
自賠責保険は前払いで支払うことになっていますので、まだ来ていない期間の分は返金されます。
但し清算は1か月単位で行われるので、残っている期間が1か月を切ると返金は受けられません。
また返金の際には5,000円ほどの手数料がかかります。解約時にはその分が引かれるため、まだ保険期間が始まっていない自賠責保険を解約しても全額は戻りません。
中途解約返戻金額一覧
(補償期間開始が平成29年4月1日以降で
本州、北海道本島、四国本島、九州本島に住んでいる場合)
出典:損保ジャパン日本興亜
自賠責保険の解約手続き
自賠責保険の解約手続きは以下の通りです。
但し保険会社により異なることが有りますので、保険会社への事前確認は欠かさないで下さい。
申請する保険会社を確認する
解約手続きを行う先は自賠責保険を契約している(証券に書かれている)保険会社です。
保険代理店やバイク店では手続きを行えません。またインターネットでの手続きも行えません。
全て電話と郵便、或いは店舗での手続きとなります。
保険会社に必要書類を確認する
自賠責保険を契約している保険会社に電話し、必要書類を確認して下さい。保険会社により書類が異なることがあります。
解約手続きに必要となる「自賠責保険(共済)承認請求書」の発行も依頼しましょう。
書類が届く日も確認した方が良いでしょう。揃える書類の中に廃車手続きか売却手続きが終わらないと提出できない書類が含まれているため、バイクの廃車処理や売却手続きが未だの場合にはそれらの手続きを急ぐ必要があります。
- 自賠責保険(共済)承認請求書
- 自賠責保険証明書(原本)
- 自賠責保険のステッカー(保険標章)(車検のないバイク・原動機付自転車の場合)
- 印鑑
- 保険料の返還先の銀行口座情報がわかるもの
- 廃車(返納)したことを証明する公的な書類
125cc以下の場合 以下のうちいずれか1つ
解除事由証明書
軽自動車税廃車申告受付書
標識交付証明書(返納)
標識返納証明書等標識番号標または試運転番号標を返納したことが確認できる書類
(買取証明書)
125cc超~250cc以下の場合 以下のうちいずれか1つ
軽自動車届出済証返納済証明書
軽自動車届出済証返納済確認書
解除事由証明書
(買取証明書)
250cc以上の場合 以下のうちいずれか1つ
解除事由証明書
検査記録事項等証明書
自動車検査証返納証明書
輸出予定届出証明書
(買取証明書)
解約に必要な書類をそろえる
保険会社より指示された書類を揃えます。
この段階で廃車手続きか、バイク買取会社への売却手続きを終わらせることとなります(何れかが終わらないと書類がそろわないため)。
必要書類を保険会社に提出する
提出方法は殆どの場合郵送です。この郵送書類が保険会社に届いた日が解約日です。
書類が届かない限り解約はされません。また解約返戻金の計算もこの日を基準に行われます。
清算金が指定口座に振り込まれます
書類到着日より算出された解約返戻金が、指定銀行口座に振り込まれます。
自賠責保険は解約しなければならないのか?
この記事を読まれた方の中には「手間がかかる割には返金額が少ない」「解約するメリットを感じない」「自賠責保険は解約しなければならないのか」といった感想を持つ方もいると思います。
自賠責保険を解約する義務はありません。返金額が少ないと感じる際には、そのまま放置して頂いても何も問題は起きません。
但しバイクを売ったり譲ったりする場合には、自賠責保険証券の扱いに注意しましょう。
自賠責保険はバイクに紐付いています。そのため他人があなたの自賠責保険でバイクに乗り続けることも出来るのです。
それ自体には何も問題は無いのですが、貴方名義の保険の有効期間内に事故が起きると、貴方に問い合わせが行われる可能性があります。
そのような面倒に巻き込まれないために、自賠責保険証をむやみに渡すのは避けましょう。(キチンと名義変更の手続きをしてくれるバイク買取専門店などへ売却する場合には、この心配は無用です)
自賠責保険証を渡さなければ、次のバイクの持ち主が貴方名義の保険を使うことは出来ません。
自賠責保険が切れているバイクは売れるのか?
バイクを手放す際に自賠責保険が切れていても何も問題は有りません。そのまま売却できます。
しかし自賠責が切れているバイクでは公道を走れませんから、手放す際にはバイク買取業者に来てもらうか、トラックなどで買取店まで運ばなければなりません。
自賠責保険を次の持ち主に引き継げないのか?
自賠責保険はまだ十分に残っている場合には、自賠責保険を次の持ち主に引き継ぐことも可能です。ですが、手続きは解約と同様に大きな負担となることを覚えておいてください。
名義変更に必要となる書類は以下の通りです。
これらの書類も保険会社により変わることがあるので、必ず事前確認を行ってください。
バイクを受け取った方が手続する場合
必要書類は次の通りです。
- 自賠責保険(共済)承認請求書(譲渡する人、譲渡される人双方の押印が必要)
- 自賠責保険証明書
- 譲渡する方の意思が確認できる書類
売買契約書や譲渡する方の実印と印鑑証明書など
譲渡人の実印と印鑑証明を用いる場合には自賠責保険承認請求書への譲渡人の押印は実印で行う
「譲渡する方の意思が確認できる書類」の準備が難しい場合、保険会社に相談してみましょう。ある保険会社に確認したところ、以下のうちいずれか一点で代用可能とのお話を頂きました。
- 譲渡人の運転免許証
- 譲渡人の健康保険証
- 名義変更済みの自動車検査証(400cc以上の車検があるバイクの場合)
- 名義変更済みの「標識交付証明書」(原付など、車検がないバイクの場合)
バイクを渡す方が手続する場合
バイクを渡す(売る)方が手配する場合の必要書類は、次の通りです。こちらもあくまでも原則なので、保険会社への事前確認は必要です。
- 自賠責保険(共済)承認請求書(譲渡する人、譲渡される人双方の押印が必要)
- 自賠責保険証明書
- 本人の確認書類(免許証、保険証など)
自賠責保険を乗り換えたバイクに移せないのか?
乗り換えなどで次のバイクが直ぐに入手できるのであれば、古いバイクから新しいバイクに自賠責保険を移すことも出来ます。
但し古いバイクと新しいバイクの排気量区分が同じでなければ、移すことは出来ません。
基本となる書類は以下の通りですが、保険会社により違いがありますので、事前に確認されてください。
- 自賠責保険証明書
- 印鑑
- ステッカー(車検のないバイク・原付自転車の場合)
- 新しいバイクの内容が分かる書類
- 古いバイクを廃車(返納)したことを証明する書類
125cc以下の場合 以下のうちいずれか1つ
軽自動車税廃車申告受付書
標職交付証明書(返納)
標識返納証明書または試運転番号標を返納したことが確認できる書類
解除事由証明書
(買取証明書)
125cc超~250cc以下の場合 以下のうちいずれか1つ
軽自動車届出済証返納証明書
軽自動車届出済証返納済確認書
解除事由証明書
(買取証明書)
250cc以上の場合 以下のうちいずれか1つ
自動車検査証返納証明書
輸出予定届出証明書
検査記録事項等証明書(返納記載あり)
解除事由証明書
(買取証明書)
自賠責の残存期間を買取ってもらえないのか?
ここまで見て頂いたように、自賠責の解約はかなり手間がかかります。
名義の変更にしても車両の変更にしても全て自分で行わなければならず、手続きはすべて紙と郵送で行われます。
その結果得られる返戻金は多くの場合あまり高くはありません。
そこでお勧めできるのはバイク買取専門店への売却です。
バイク買取専門店は廃車の手続きを無償代行します。そうすれば自分のバイクから自賠責保険を切り離せます。
自賠責の買取に関しては、残存期間が短ければあまり期待できないでしょう。何故なら次の持ち主が現れるまでに期間が切れてしまう可能性もあるからです。
しかし返戻金がある程度見込めるなら、買取業者に自賠責保険の残期間を買い取ってくれるように相談してみて下さい。
自賠責保険の残存期間を買い取ることを「買上げ」と言いますが、決して珍しい手続きではありません。
買い上げを行ってくれるかどうかはケースバイケースですが、出来ないと言われたら、買取証明書を発行してもらい、自分で保険の解約処理を行えば良いのです。
そうすれば自賠責解約に不可欠な廃車手続きだけでも業者に任せることが出来ます。
つまり買い上げを行ってもらえなくても、自分が負担する手間は半分に減らせるのです。
この方法がもっとも売り主にとって損が無く、楽な方法です。