今年のSuper Minimum Challengeのボンネビル走行の結果が断片的にですが入ってきているので、纏めてみました。
ほろ苦い結果ですが、見えてきたのは開発者のチャレンジング・スピリットでした。
目次
ボンネビル走行でトラブル頻発
今回の走行目的は2019年の本番に向けた経験値の積み上げとのことですが、実際走ってみると想像以上に多くの問題が出たようです。
開発を担当したキタガワモーターサイクルスの方によれば、現地での走行が始まるやいなや、ボンネビルの標高、湿度、日中の気温差、空気抵抗などで、エンジンのセッティングを再検討する必要があっただけではなく、チェーンが塩で固くなり走行に支障をきたすなど、車体のあちこちに「現地でなければ分からない」事象がかなり出たとのこと。
連日のように日米間で連絡を取りながら、対応に追われていました。
記録は160km/h 目標は遥か彼方に
ミレニアムチャレンジのオフィシャルフェイスブックでの公表値は以下の通りです。
但し、FIMの公式ページでの記述はちょっと厳しめ。多分こちらのニュアンスの方が現実に近いと思います。
Takushi Chikakane exhausted every possibility and ran down to the last minute of the meet, but was unable to reach his goal.
(引用者訳: 近兼拓史は最終日までの全てのチャンスに挑み走行を重ねたが、目標値に達することはできなかった。)
来年目指す記録は、50ccで時速233.3km、方や今年の記録は125ccで時速160km。今回の走行は目標に立ちはだかる壁の大きさを再認識する結果となりました。
もちろん塩の上は平らではありませんし、前述のチェーンの硬化に加えて、タイヤの溝が塩で埋まることからくる、トルクの減少なども有ったのでしょう。とはいえ、なかなか厳しい数字です。
「思った以上に難儀だぞこりゃ」というのが参加者の実感ではないかと想像します。
2019年のチャレンジは始まっている
今回の結果を見ると、4月中旬のプロジェクト開始から僅か4か月でテスト走行を実施させるという強行スケジュールを敢えて敢行した近兼氏には綿密な計算が有ったことに気付きます。
「とにかく一回やってみる」「失敗したら直せばいい」「失敗するなら早い方が良い」というチャレンジングスピリットの表れが、今回の強行日程だったのではないでしょうか。
今回の走行から得られたデータは、これから10か月ほどかけて開発される、世界記録突破のための車両に生かされます。
言うまでもありませんが、今回走ってみなければ経験値もデータも得られませんでした。
仮に準備が不完全でも走ってみる。その結果これからの10か月に何を行わなければならないのかがハッキリしたのですから、今回の走行が如何に有益であったかは容易に想像がつきます。
「とにかく一回やってみる」「失敗したら直せばいい」「失敗するなら早い方がいい」
このような考え方は、ともすると忘れがちになります。今回のSuper Minimum Challengeを見ていて、久しぶりに思い出しました。
私は今後も応援します。